もみじどろぼう なきがら
表現活動を続けてゆくには心の丈夫さが足りない。
しかし私が物語をつむぐのはその弱さがあるからこそ。
だから
作り手としての私を守ってくれる人が欲しい、と思い続けてきた。
でもそんな都合よくはゆかない。
誰も守ってはくれない。大切なメンバーが離れて行って、心細くてたまらなくなって、守ってくれる人が欲しくて、仕事を一緒にしてくれる人が欲しくて、賞に応募した。でも結局自分自身のその行動に傷ついた。
他人と比較される場所に行き選ばれようとする、という行為は表現とは正反対なのではないか、そう思ってきたから。
私は淋しさに負けて、自らポリシーを破った。弱い人間だ。
芝居を一本観たあと、友人と豪徳寺へ。
ライトアップされた紅葉は、鮮血の色。
さやさや、楓が風に揺れている。
さやさやさやさや、私の血もこんな侘しい音色で流れているのだろうか。
いちばんあかく見える葉を一枚むしりとってハンドバックにしまいこんだ。
世田谷線に乗り込んでから取り出してみると乾いたかさぶたのように見えた。
さっきまで確かにほとばしる血のようだったのに。
光の加減だろうけれど。
手のひらの上の紅葉は、ぐったりとして、まるで亡骸のように見えた。
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