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昼過ぎから音楽合わせ。

音楽監督とともに音入りのタイミングや楽曲の内容をひとつひとつ検討する。

今回も楽しい曲がたくさん。

夜まで掛かったがなんとか最後まで仕上げることができた。

役者は待ち時間が多いと疲労が大きい。疲労の激しそうな役者には声を掛け、先に帰ってもらうことにした。

根性とか精神論は嫌いだし。

稽古後は音楽監督T氏とともにファミレスで打合せ。先ほどまでに決定したことの確認のみ。

T氏は私の状況を察した?のか、とにかく食べろ食べろとすすめてくる。幼なじみみみたい。近況を話すと、彼の顔がいつになく曇った。不思議なことに、その分だけ少し心が軽くなった。

そうだ、現場では彼と一緒なのだ。大丈夫、大丈夫。

打合せの帰り、人と散歩。

川沿いの遊歩道を延々歩いた。

手すり近くに「スタート」と書いてある細い杭のようなものがあった。

「なんのスタートなんだろう」と私は言った。口に出してみると、その杭の前から離れられなくなった。何故だか分からない。生理的にどうしても。

何度も、スタートという文字を指先でなぞっていると涙が少し出てきた。

感情が死んでいるのに、どうして泣けてくるのか。

あまりの不思議さに思わず微笑んでいるとその人が「さあ、どっちにスタートしましょうか」と言った。

身動きできずにいると、その人は自分の発した問いの答えを待とうともしないで私を引っ張ってまた歩き出した。

何もかもが、膜の向こう側のように感じる。

水音も。ときどき「好き」と呟くその人の声も。

私が悲しくなればなるほど、何も感じなくなればなるほど、人はみな私を好きになるのだという気がした。

青い小さな鷹に、襲われそうになる夢を見た。

獰猛で恐ろしかった。

私は自分の家に帰るために壁をよじ登っていたのだ。すると鷹の子どもがバサバサと空から降ってきた。爪が異様に大きくて青く光っていた。

頭をつかまれそうになり、半狂乱で振り払った。

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