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小雨降る 街の上空から

信じていたものがガラガラと崩れていってしまった。

「お前の身の回りに起こることは、すべてお前の責任なんだよ」

幼い頃からそう教わってきた。

ということは

信じていたものが消滅したのも私のせいだ。

ずっと、未来へと続く想像を封印してきた。

激しい感情が、コントロールできなくなるような気がしていたからだ。

しかし信頼は未来と強く結びついている。

信じれば、自然とその向こうに未来がぼんやり透けて見えてしまう。見ないようにしていても、やはりその未来に心が感応してしまう。

しかしその未来も消滅してしまった。まるで砂のお城だ。

ここのところ死ばかり夢見る。白昼夢のような。目覚めている間は十分に一度くらいの割合で、自分の死を空想する。

芝居をやるには、何種類かのことを同時に考えられる能力が必要だけれど、それが完全にわざわいしている。

仕事をしていても、自分が死に向いさまざまな方法を試みている様が映像として頭に浮んでくる。あまりに頻繁なので、ほとんどずっと、と言ってもいいくらいだ。

稽古の後に人に会う。

抜け殻と化した私の肩を強く揺さぶり話しかけてくれるけれど遠い世界のことのように感じる。

膜の向こう側。

その人の語る愛は文字化けした画面のようだと思った。私にできるのはただ意味も分からず眺めることだけ。いや、混乱しているせいできちんと言葉を受け入れられないのだ。

さっきうたた寝をしていて夢を見た。見知らぬ、色彩のない、小雨降る街の上空を私の魂はさまよっていた。

生きてはいるらしく、トイレなどにも寄った。間違った入り口から入ったあげく混んでいるので諦めた。

それから父親に(といっても現実の父親ではない。同世代の知人が私の父ということになっている)「私のせいです」と頭を何度も下げる。

飛びたい方向へは飛べない。間違えて乗ってしまったバスのように、必ず行きたいのと反対の方角へ曲がってしまう。

目覚めるとメールが来ていた。返事をしては、いけない気がした。

冷たく石のように死んだ心で、言葉をつむいではいけない。

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