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さくら の におい

何だか頭がぼーんやりして、なかなか台本の書き直しが進まない。

とは言っても、もうあと残すは1割くらいなんだけど。

午前中は劇団の雑用。

午後は何もしないで台本のことをなんとなく考えながら、寝そべって過ごした。

夜、友人に誘われて神田川沿いの遊歩道を散歩。

桜は7分咲きといったところだろうか。

今の私は鼻がすごく鋭敏。

生まれて初めてといっていいほどはっきりと桜の芳香を感じた。

すごいなあ。こんなに匂っていたんだなあ。

これに気付いてなかったなんて。これまでなんとな~くしか分からなかったけれど。

爽やかでルンルンしてくるような香り。ちょっとハイになるような匂いだ。

今だけのことだから、よく覚えておこうと思う。

散歩の途中、大きな犬二匹(そっくりだからおそらく兄弟)と目が合った。

一度はすれ違ったのだが、犬たちが引き返してきた。

飼い主さんはリードを引張られ困惑している。

何故だか友人には目もくれず私にグリグリと身体や頭を押し付けてくる兄弟犬。

ちょっと撫でてやると、「もっともっと」とねだってくる。

ええっとねえ、そんなに押されるとよろけちゃうよ。キミ達すごくでかいんだもの。

ひょっとしたらまだ子犬の気分でいるのかもしれない。

甘え方がすごく子どもっぽい。

「可愛いね。いいこいいこ」と声を掛けてあげると、飼い主さんがエヘヘと笑った。

「いいえ、あなたのことじゃありません。ワンちゃんたちのことですよ」という突っ込みはかけないでおいた。

散歩の後は、ハンバーグを食べた。

思い出話などをしていたら、突然、「私は周りの人を不幸にする人間なのではないか」と不安になった。

私と一緒にいる時よりも、私から離れた後のほうが、幸せそうにしている人が多いような気がするのだ。

劇団を離れた劇団員たち。ほとんどが芝居をやめ、ダンサーになったり就職したり、出産したり。久しぶりに会うと皆それぞれに安らいだ顔をしている。

大学時代からつきあってきた歴代の彼たち。

つきあいはすべて例外なく、私が逃げ出してしまう、という結果で終わっており、相手はそれぞれ、数年後に幸せを掴んでいる。(追跡調査まではしていないので分からないが、今もたぶんみんな幸せだと思う)

彼らは、私と一緒にいる時はあまり幸せそうに見えなくて、だからこそ、逃げ出したくなるわけであるが、相手次第では幸せになれる人ばかりなのである。

相手の攻撃性や欠点を変に刺激して全開にさせてしまう、私はそういうタイプの人間なのかもしれない。

他の人の前では普通なのに、私に対してだけ暴力や暴言など異常な行動を取る人、時々いるし。

別に共依存ではないと思う。耐えられないと思ったらすぐに逃げ出すから。

でもその反対に、恐ろしいほど美しく純粋な真心をむき出しにされることもある。

そして意地悪で嫌な人で通っているのに、私に対してだけ優しさと思いやりを示す人もいる。

両極端。

要するに、人の核をなす部分に、直接触れてしまいがちということなのかもしれない。

なんだか人に近付くのが怖い。

深夜、台本を書いた。

こうしたい、こう書きたい、というはっきりした意識もなく、やみくもに綴る。

もやもやとして、なかなかよい感じのシーンになった。

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