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2009年12月

たった ひとつの ものを てにして

またしても怖い夢を見て目覚める。

幸せ過ぎて、かえって不安になっているのかな。無意識のうちに。

平凡でいい。自分が自分である証などいらない。

最高の幸せを手に入れたら、きっとそう思うのだろうと以前から想像していた。

しかし、自分自身がまさかそれを手に入れるなんて。

思いもしなかった。

あっぷっぷ。

私がそう言うと、小さな同居人が「あっぷっぷ」と答えてきた。

まさか。

通じてる?

何度も試したが、間違いない。

じゃあ、あっぷっぷっぷは?

同居人は少し間を置いてから、「あっぷっでゅっぷっ」と答えてニコニコした。

もう一度繰りかえす。

同じだ。

ちゃんとその場で聞いたことを言おうとしているみたいだ。

午後、家の掃除しながら、買出しなど。

小さな同居人は、構って欲しくなると、「あっぷっぷ」と大きな声で話し始めた。

ごめんね。

ずっと抱っこしていたいけれど、いろいろやらなくちゃいけないことがあるんだ。

今年で最後の夜。

まさに波乱万丈の一年だった。

でも、夏の終わり、運命の人にやっと出逢えた。

息もつまるような幸福を手に入れた。

幸福とは何もかも手に入れることなのかと思っていたが、違っていた。

たった一つのものを手にして満足すること。

夜更け、ベッドに入る。

小さな同居人は静かな寝息をたてている。

しめしめ。ぐっすりだ。

明けましておめでとう、と耳元でささやくと、小さな同居人は私の指を素早く掴み、口もとに持っていってなめた。

くすぐったい。

ありがとう、と、おめでとう、はなんだか似ている言葉だね。

そんなことを考えながら眠りに落ちた。

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あっぷっぷ と いえた ひ

つづけざまに「迷子になる夢」を見た。

二本目は、小さな同居人を抱えたまま、さまよっているうち、いつの間にか同居人がどこかに腕の中から消えてしまって、泣きべそかきながら探し回るという夢。

泣きながら目を覚ました。

隣を見ると、同居人と目が合った。

しきりと喋っている。

どうも、声を聞いているうち、同居人の夢を見たらしい。

それにしても、何を喋っているんだろう?なんか、聞き覚えのあるような……え?言葉を喋ってる?

「あっずっぷっ」

ひょ、ひょっとして「あっぷっぷっ」?

耳を澄ませていると、ときどき「あっぷっぷ」と言えている。

でも、これは果たして言葉なのかな?

だけど、何で「あっぷっぷ」って言ったあと笑うんだろう?

それじゃ、にらめっこは負けなんだけどなあ。

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めりー くりすます

友人が役所めぐりにつきあってくれると言う。

ありがたい。

私も代わりに友人の用事につきあうことにした。

共通の友人が結婚するのだが、その二次会の会場候補の下見をするのだそうだ。

イタリアンレストランでランチ。

小さな同居人も一緒。

同居人の好きそうな、ゴチャゴチャしたものがたくさん置いてある店だったが、

寝ている。

爆睡だ。

サーモンのピザとカニのトマトパスタを注文。なかなか美味しい。

でも二次会には向かない。これじゃいくらなんでも狭すぎる。

今日はこれからハードな役所めぐりが待っている。

そのためにしっかり腹ごしらえをしておかないと。

昼過ぎ、役所に電話。書類が出来ていると言う。

えっちらおっちら、取りに行く。

その書類を持って、いざ、裁判所へ。

私と小さな同居人が一緒にいるために必要な書類を作ってもらうのである。

友人は裁判所のある駅の改札まで、私たちを送ってくれた。

今の私たちは、電車に乗るときはいつも、エレベーターか人の助けが必要だ。

駅によってエレベーターがあったりなかったりで、不便だ。

初めての場所に行くときは心細くて仕方ない。

裁判所の中では、いろんな方から優しくしていただいた。

「申請書の許可が出るまで時間が掛かるから、上の階の休憩室で休んでいったらどうですか」と、受付の女性がすすめてくれた。

言われるまま、エレベーターに乗って向かっている途中、「寒くないですか?大丈夫ですか?」と見知らぬ男性から声を掛けられた。

「大丈夫です。ありがとうございます」

休憩室は個室で、流しもあり、ゆったりとした作りだ。

小さな同居人をソファに降ろすと、途端にはしゃぎ出した。

「ププックー」

ぷぷっくーとはなにか?

分からないながらもいちおう「ププックーなのね?」と訊いてみると、

「あ~むん」と言ったきり口をつぐんだ。

そして期待感あふれる目で私を見ている。

何かやれ、ということらしい。

うーん。裁判所で、ギャグか……。

ここ、かなりシリアスな場所だと思うんだけど。

「むん」と催促するように、言ってくる。

仕方ないので、メチャクチャな顔をしてみせた。

「ウウッククッキャッキャッ」

やった。爆笑された。

頑張って何度かギャグをかましているうち、なんか涙がちょっと出てきた。

ありがとね。

ここでギャグをやれて良かった。なんか、勇気わいてきたぞ。

受付に戻るときにも初老のご夫婦から、声を掛けていただく。小さな同居人は、「あ~」などと答えて笑いを誘っている。

書類を受け取り、地下鉄へ。

途中の乗り換え駅ではエレベーターが無いのでエスカレーターに乗る。

降りようとして、手提げ鞄が引っ掛かってしまった。

どうしよう!パニックになって、身体が思うように動かない。

その時、後ろから手が伸びてきて、助けてくれた。

「ありがとうございます」

トレンチコートの男性は「これ、改札まで持ちますよ」と荷物を持ったまま先を歩き出した。

「すいません」

小さな同居人を抱えたまま半泣きになって、頭を下げた。

人の情けに触れる一日だった。

そうか、今日はクリスマスだったんだ。

腕の中の同居人をふと見ると、またぐっすり、眠り込んでいた。

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はなやかな くりすます

今日も細々した手続きのため、お役所へ。

三箇所も回って本当にクタクタ。

世間はクリスマスイブだっていうのに、私と小さな同居人は、それどころじゃない。

だからといって、殺伐としてるか、というと、そうでもない。

窓口などでどんな不快な目に遭ったとしても、視線を交わすだけで、頭の芯がしびれるほど幸せ。

つらくても、二人で、冒険をしているだけなんだ。

今は私が船長なんだから、しっかり舵を取らないと。

帰宅して、奇妙なものが届いていることに気付いた。

おそらく、私という人間は、とことん誤解されているのだと思う。

ただし今は、その誤解を糾す時間とエネルギーが惜しい。

クリスマス・イブ。

アクセサリーやら花やらをもらって、ロマンティックな雰囲気の場所に行く。

それがクリスマス・イブ。

そうじゃなければ、侘しくて、みじめ。そう思っていた。

だからこそ東京に来てから一度も、プレゼントやデートなしのクリスマスなんて過ごしたことがなかった。

だけどやっと分かった。

その発想こそ、みじめ。

幸せなら、なんにもいらない。

手をつないで見つめあっていれば、なにもいらない。

お洒落な服も、アクセサリーも、ディナーも、花束も、夜景も、ドライブも。

今、私の目の前には、世界でいちばん美しいもの、尊いものがある。

同居人の瞳がチカチカと光った。私に信号を送っているかのように。

なあに?なんて言ってるの?

そう言おうとした瞬間、同居人がいきなり、鼻に噛みついてきた。

愛がこんなに華やかなものだとは、知らなかった。

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おんがく

昼下がり、友人が訪れた。

正確に言うと、劇団に用事があったのだが、とにかく来てくれて嬉しかった。

小さな同居人も喜んで迎えた。

友人は同居人とは久しぶりに会ったから、成長ぶりに驚いていた。

でも、私から見ると、友人も成長している。

同居人とくらべると、だいぶゆっくりではあるが。

夕方、小さな同居人を連れて姉の友人宅へ。

リンゴの飾りと、イルミネーションのついた大きなクリスマスツリーに、大興奮。

同居人はちょっと騒ぎ始めてしまった。

最近、奇声を発する遊び?にはまってしまったらしく、一度奇声が始まるとなかなかおさまらない。

しかし、そのお宅の息子さんが、ピアノを弾き出すとピタリと黙って、音楽に集中している。息子さんの手元を食い入るように見つめている。

音楽の意味も分かっていないだろうに、何故なんだろう?

まあ、私にも分からない。音楽の意味なんて。

そっか。いいのか。楽しければそれでいいんだ。美しければそれがすべてなんだ。

演奏が終わると同居人が欠伸をしたので、帰ることにした。

お風呂から出ると、また奇声を発し出した。

うう~。

とりあえず歌でも歌うか。

私の歌など音楽とは言えないかもしれないが、とにかく、歌い始めると、また聞き入っている。

ま、そんなに真剣に聞かんでもいいからそのまま寝てくれ。

しかし結局、1時間、歌い続けたのだった。

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きらきら

小さな同居人とともに、役所へ。

細々した手続きをする。

同居人は久しぶりに遠出して生き生きしている。

しかしときどき心細くなるのか、私の手を握りたがる。

私は今日、ときどきどころか、ずうっとひっきりなしに心細い状態だ。

やっぱり一緒に来てもらってよかった。

「だいじょうぶだよ」

小さな同居人がキラキラ光る目をちょっと細めて言った。

もちろん、あの不思議な言葉で。

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ほんばん

朝早く目が覚めた。

小さな同居人は、気配を察したらしく、そわそわ落ち着かない。

何だか悲しくなってきて、離れられなくなり、朝食を食べそびれた。

目から涙が噴き出してきたので慌てて荷物を掴んで家を飛び出した。

いけないいけない。

今日は本番。

みなとみらい線の中でサンドイッチを頬張った。

1時間くらいで何とか準備を終え、本番。

午後の回は、劇団のお客さまが半分以上を占めていた。

ありがたい。

終演後、劇場ロビーにて、小さな打ち上げ。

劇団メンバーがチョコレートケーキを焼いてきてくれた。

楽器やら照明やら車で帰る人が多いので、お酒が無いぶん、

打ち上げというより、クリスマス会、という感じ。

可愛らしくていいな。

この劇場ならではだ。

片付けを終え、帰宅。

小さな同居人と涙の再会、のつもりが、まったく私を見てくれない。

虫。じゃなかった。無視。

悲しいな。

でも仕方ないね。置いてきぼりにされて、嫌だっただろうね。さぞかし不愉快だっただろう。

連れてゆきたかったけれど、周りに反対されて仕方なかった。

また来年、一緒に行こうね。

1時間くらいして、小さな同居人は私をまじまじと見つめたかと思うと、

やっと泣き出した。

私も泣いた。

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たからもの の かくしばしょ

明日は「ちびたんのクリスマス」本番。

昼と夜の稽古の間に、一時帰宅。小さな同居人を風呂に入れる。

同居人は、いつものようにはしゃいでいる。

ただし首のしわの間を洗う時だけ、機嫌がめっぽう悪い。

何故?宝物でも隠してるの?

明日は12時間も離れ離れ。

淋しいなあ。

別れて現場に向かう時はつらくていつも涙が出る。

でも、その後はしばらく、年末も正月もずうっとそばにいられるんだ。頑張ろう。

横浜の子どもたちは、私たちのステージを楽しんでくれるかな?

ホールの要望で、去年とは違うアイディアをたくさん盛り込んでみた。

どんな反応がかえってくるか、とても楽しみだ。

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とくべつ な かんけい

今日は検診。小さな同居人を連れて保健所へ。

中はとても混んでいて騒がしい。

それでも、スタッフの方たちがとても親切なので、殺伐とした雰囲気はなく和やかだ。

順番が来て、診察室に入る。

小さな同居人は、とても機嫌が良い。ナースとドクター相手に大ハッスル。

例の言葉で元気に話し掛けている。

「なあに?」などと皆さん優しくこたえてくれるので、すっかり友だちになった気でいるらしい。

ずっと話し続けたそうにしていたが、検診はすぐに終わってしまった。

明らかに物足りなさそうな顔をしている同居人を連れて、隣室の説明会へ。

歯ぐきの手入れのレクチャーで、モデルに選ばれ、前に出る。たぶんたまたま泣いてもいないし眠りこけてもいなかったからだ。

同居人は、保健士の方に話しかけられて、楽しそう。口に歯ブラシや、指を入れられても、ニコニコしている。

レクチャーが終わり、席に戻った。

次は予防接種の説明だ。と、小さな同居人が保健士の人の言葉に対していちいち、返事をしだした。

どうも、自分に話しかけられていると勘違いしているらしい。

いや、勘違い、とは言えないかもしれないが……。

さっき前に出た時、優しく話しかけられたり口の周りをいじられたりしたので、「特別な関係」になったと信じて込んでいるのだ。

保健士の方がワンセンテンス喋るたびに、大きな声で返事をするので、周りの人たちが振りかえって私たちを見ている。

うう、だんだん視線が痛くなってきた。説明のアウトラインが見えたところで、退散する。

部屋を出たところで、スタッフの方に小さな同居人を預け、トイレへ。

戻ってみると何故か周りに看護婦さんと保健士さんが5人ほど集まっている。

覗きこんでみると、また同居人がハイテンションで喋っていた。

自分の顔を見つめてくれる人はみんな友だちだと思い込んでしまうみたいだ。

皆さんが可愛がってくれるのは嬉しい。

でも、こんな状態では、歩けるようになったら知らない人についていってしまうのではないかとちょっと心配になった。

帰宅後、しばらくして、友人が訪ねてきた。

童話を書く勉強をしている彼女は、手作りの絵本をプレゼントしてくれた。

彼女の書く話は、独特の温もりがある。

そして、ちょっとだけ不気味なところが、いつも、ある。

私はその不気味なところが、結構好きだ。

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ギー

昼、音大で音楽合わせ。

とんぼがえりして、帰宅。

小さな同居人を風呂に入れる。

そして今度はリハのため巣鴨へ向かう。

今回の音楽家二人は穏やかで演奏が正確。それでいて遊び心も忘れない。

とてもいい感じだ。

ピアニストのKさんとは初めて組むが、文句なく達者な演奏だ。専門は打楽器だそう。ふうん。「天は二物を与える」だなあ。まったく。

終わるとくたくた。

小さな同居人を迎えに行くと、機嫌よく寝ていたのに、私の顔が目に入るなり突然腹立たしそうにむずかりだした。

ごめんなさい。

謝って、抱き締めて、なんとか許してもらう。

やがて、気が済んだのか、ニコニコして話し始めた。

同居人の言葉、よくは分からないのだが、私も片言で、50音ではない、その言葉を操ってみる。

話が弾むとその分興奮してしまって、なかなか寝てくれない。

抱っこしたまま、薄暗い家の中をさまよう。

寝入る直前、同居人が重大な秘密を打ち明けるように、小声で「ギー」と呟いた。

私も。

今夜は「ギー」だね。「ギー」って感じ。ほんと。

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ちゃちゃちゃ

今日は、児童館の集まりに顔を出した。

小さな同居人の話をしたら、大うけ。

「両方のこぶしを口に入れようとしたけど、どうしても入らないので、カンシャクを起こして泣き出したことがあったよ」

でも考えてみると、もうそれからひと月経つんだなあ。

今はもう、両手はさすがに入らないと分かったみたいだ。ちゃんと片方ずつ、しゃぶっている。

ここ数日は、カレンダーの写真を見ると激しく吹き出し笑う。

何故?

写真は阿蘇山の火口および噴煙を写したもの。

噴火口ってそんなにおかしい?ユーモラスだっけ?

いまいちヒットポイントが分からない。

音楽はオモチャのチャチャチャとかアイアイとか、リズムがはっきりしてて面白いものが好きみたいだ。

1月、2月の計画を立てた。

芝居って、やっぱり稽古があるから大変だなあ。

私は昔から計画を立てると、ほぼ仕事の半分が終わったような気分になってしまう。

実際、計画を立てるのが一番頭を使うから、「半分」というのはある意味正しいかも。

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じゆうじん と かぜ

1月10日にピアニストのライブで朗読をやる。

今日はその件で打ち合わせ。

面白い内容になりそうだ。

Iさんの作る楽曲はちょっと宙に浮いてて、不安定な感じがある。

彼女の音の世界にはいつも「風」が吹いている。

懐かしくて、淋しい、自由な風。

彼女自身が自由人だからかなあ。

小さな同居人は、彼女が語るのをじっと見つめている。

そしてときどき、相槌を打つように笑う。

とても彼女のことが好きみたいだ。

うん。私もだよ。

何より、彼女の世界を吹き抜ける、風を愛してる。

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うすめ を あけて

土日の疲れがどっと出る。

おとといは小さな同居人のための儀式をやった。

私も楽しみたかったが、不快な出来事が続き残念だった。

頭がゴチャゴチャして、しかもとても憂鬱。

そんな時に、いつも話を聞いてもらう人がいて、今日もその人に来てもらった。

自分の抱えている問題点などを、たれながし的に喋っていたら、

頭がいつの間にか整理され、気分がラクになった。

私はとても助かるのだけれど、その人は大丈夫なんだろうかと気になる。

話をダラダラと流し込まれるのってどんな気分なのかな。

なんだか申し訳ないなあ。

その人が帰った後、小さな同居人にオモチャのチャチャチャを歌ってやったら、

大爆笑された。

いつのまにか、大きな声で、笑うようになったんだなあ。

すごいな。嬉しいよ。

それにしても、オモチャのチャチャチャってそんなに面白い歌だっけ……?

やっと気分がラクになったと思ったら、大変な出来事があった。

酒に酔った客が小さな同居人を床に落としかけたのだ。

幸い怪我もなく、事無きを得た。

よかった。よかったよかった。

本当にお酒って怖い。

というか、足元がふらついている客を断れない私が、ダメ。

ダメダメだ。

自分の頭を思い切りガンと殴りつけたくなる。

確かに恩義のある相手ではあるが、今の私は、義理とかスジとか、言ってる場合じゃない。

守れなくてどうするんだ。

断るべきときは断れ。

落とされそうになった時の映像が、何度も何度もフラッシュバックして、なかなか眠れない。

寝返りをうつと、小さな同居人が薄目を開けて見つめていた。

「なんでもないよ」と言おうとしたら、涙がボタボタっと落ちていった。

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ちかちか

稽古から深夜に帰宅。すぐに母の部屋へ。

すでに寝かしつけられている小さな同居人に、「帰ったよ」と挨拶した。

同居人は、おもむろに私の顔の皮を細い指でつまみ、引っ張る。

「いててて」

悲鳴をあげると、嬉しそうに笑い、さらに皮を引っ張る。

「ちょっとお風呂入ってくるね」と声を掛けると、素早く私の指をつかんだ。

まっすぐに私の目を見つめ、不思議な言葉で喋り始める。

胸がドキドキして、苦しい。

「またどこか行くの?」

そう言われている気がする。

「違うよ、もうずっとここにいるんだけど、ちょっとお風呂入ってくるだけ」

そう説明するが、同居人は手を離さない。

同居人が安心するまで、話すことにする。不思議な会話は真夜中まで、ずっとずっと、続いた。

話していたら最後は泣き出した。

「ほんとは話なんかどうだっていいんだよう」ということらしい。

私も。

お話もいいけれど、くっつきたいなあ。

抱っこして、暗い家の中をゆらゆらとさまよって歩いた。

薄暗がりの中で、同居人の瞳がチカチカと光った。

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なぜ こたつで まるくならないのか?

政治家の演説の原稿を、舞台人が脚本のように書いて、演出した、という新聞記事を読んでとてもイヤな気分になった。

演説に感動した、という人の言葉まで載っていて、さらに気が重くなる。

しかもその舞台人は、芝居を作る立場として一番イヤなのは「ファシズムだ」と言っているらしい。

う~ん。そう思っているなら、政治家に台本書いたり、演出したりしちゃダメじゃないのかな。

その人、言うこととやることが矛盾してないか?

役者のように脚本を演じた政治家にも、演劇の技法を政治に、てらいなく適用したその舞台人にも失望を覚えた。

もし記事のすべてが真実ではないにしても、その人が舞台の技術を政治の現場で使ったことだけは確か。

私が神経質なのかもしれない。

政治や学問などの「真実」が何よりも大切な現場で、舞台人が技術を発揮することに対して、嫌悪感を感じる。

(教育や仕事の場では良いと思う)

そして、上記のようなことを、キレイに書き立てる新聞も、イヤだ。

その政党の脚を引っ張るために、わざと、皮肉って、キレイに書いているのだったらまだしも。

村上龍は、どう思っただろう。

彼のファンという訳ではまったくないのだが、意見が気になる人ではある。

今日もとても寒い。雨。

稽古場には大きな窓がある。

窓の外を、猫が震えながら何匹も通りすぎた。

どうして?

こんな寒いのに、何してるんだろう?

私がキミたちなら、こんな晩はこたつで丸くなっているけどなあ。

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こんなさむいよるに あたたかいところで

今日は私の家でメンバーミーティング。

現在、制作をお願いしている外部スタッフのOさんにも参加してもらう。

最近立て続けに起こった出来事について、簡単に結果報告を行なったほか、来年の運営方針、金銭面のことなど話し合った。

小さな同居人は、話に加わりたがって何度か不思議な言葉を発しかけたが、基本的には、ニコニコ聞き役に回っている。

その後、みんなでご飯を食べた。

といっても、私が作っておいたのは炊き込みご飯と味噌汁だけで、あとはスーパーのお惣菜。

溜まっていたポイントを使って、ちょっと多めに買っておいたのだ。

演出助手のHちゃんが早く帰るというので、炊き込みご飯をおむすびに渡した。

私は腰が冷えるので、床暖房でホカホカになっているフローリングの上に直接腰を降ろして食べた。

和みのひととき。

こんな寒い夜に、あたたかいところで、仲間と一緒にご飯を食べて、お喋りができる。

幸せだな。

それにしても無洗米ってあまり美味しくない気がする……。こういう風に炊き込みご飯にすると気にならないけど、モチモチ感が普通のお米にくらべて足りない。

もっといろんなパターンの炊き込みご飯を考えてみようっと。

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こうてい だりあ

ひるさがり、線路脇にある公園まで散歩。

公園の中にある建物でひと休みできると聞いていたので、中に入ろうとしたら、今日は特別なイベントがあり、入れないとのこと。利用案内だけもらって帰ることに。

商店街まで近道してゆこうとしたら、道に迷ってしまった。

「ひええどうしよう」

ぼやいていたら、小さな同居人が私を見上げニヤリとした。この人は私が失敗すると、口の端っこを片方だけあげて、ニヒルに笑ってくることが多い。何故だろう……。

焦ると余計に訳の分からない道に入り込んでしまう。

自分の家の近所なのに私ったらどうして迷子になるんだろう。

うううう。しかも行き止まりの道が結構あって、引き返すこともたびたび。

助けて。

見回すと、古びたアパートの脇にベンツがとまっていて、その陰からホースを持った初老の男の人が出てきた。

「あの、この道は行き止まりですか?」

オドオドしながら訊ねると、男の人は、「行き止まりじゃないけどさ。それより花を見てきませんか?」と言う。

「え?」

「この花、コウテイダリアっていうんだよ」

「コウテイ?」

「ほら、皇帝ペンギンの皇帝だよ。とても珍しい花なんだ。最近やっと咲いてね、近所の人がみんなすごいすごいって見にくるんだ」

男の人が指差した先には、ピンク色の大きな花が咲いていた。澄み切った空に、すうっと茎が伸びている。ダリアっていうと、赤とかオレンジなどはっきりした色を連想するけれど、この花は、淡いピンク。

きれい。

見とれていると、男の人は得意げに頷いてみせる。そしてもう一度、繰り返して言う。

「とても珍しい花なんだ。テレビでもやっていた」

その後、男の人は、道をていねいに教えてくれた。

お礼を言って歩き始めてから、振り返ると、ホースをまだ片手に持ったまま、花に向かって満足げに何度も頷いていた。

不思議な人。

でも珍しい花だと気付けて良かった。ピンクの花は視界に入っていたけれど、言われなかったら、名前も覚えられなかったし。

「皇帝ダリア」なるほど。

でも楚々とした風情の花だから「お姫様ダリア」とかでもいいのではないかと思う。

おかげで商店街にたどり着いた。

馴染みの喫茶店に入ってアイスカフェオレを飲む。

小さな同居人もここが好きだ。レゲエの響く店内で、のんびりした時を過ごした。

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もびーる

メンバーが家に来る。

ヘルパーさんに小さな同居人の相手を頼んで、仕事をした。

仕事の後、夕飯まで少し時間があったので蛍光灯のスイッチひもにぶらさげる小物を作ることにした。

小さな同居人がスイッチひもをしきりと見つめるので、何か面白いものをぶらさげたくなったのだ。

「モビールキャラバン」に行ってダウンロードする。

http://calder.blog77.fc2.com/blog-category-6.html

面白い、というほどではないが、素敵なかたちのものがいくつも見つかった。

このサイト、ときどき覗いてみると楽しい。

花のモティーフを選んで、ぶらさげてみた。

私はもともとモビールは好きだ。

小さい頃から作っている。

既製品だと、特にフレンテッド・モビール、というデンマークの会社のものが好き。

シンプルでとてもよく出来ている。それにとても安い(ものによっては高いけど)。

今はベッドの上に象さんのモビールをぶらさげてある。

眺めていると、実に愉快な気分になってくる。

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