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2010年9月

がんこ な ちゃれんじゃー

小さな同居人は美味しい食パンが好きだ。

パン屋さんで買うちょっと高い食パン。

しかも買いたてが好き。

「パン好きだね」と言ったら

「パン……」と答えた。

パン、ラブなのだ。

愛しているものを見る時、同居人の目つきはまったく違っている。

熱っぽくて、粘っこい。

滑車のついた小さな椅子の上に立ち上がってポーズを取る。

バランスを取りながらなので、得意満面である。

ちょっと危ない。

特別な低い椅子だからたとえ転んでもたいしたことはないが、やはりヒヤヒヤする。

できればやめて欲しいのだが、ダメと言うと、

意地になってもっと難しくて危険なことに挑戦するのが常だ。

何故か、ダメと言われるのが好きみたいだ。

ダメだしされると喜ぶ役者みたいで、なんかイヤだなあ。もう。

だからとにかくダメとは言えない。

仕方ないから、椅子が動くと危ない、ということを分かってもらうために、

椅子を押さえてあげないことにする。

椅子が滑り出したら手を出せるよう、神経を研ぎ澄ませる。

怖い思いをしたら、きっと自分からチャレンジを止めるだろう。

しかし私がいくら構えてみても、

敵はバランスを取るのが上手でなかなか椅子は滑らない。

困った。

どうしたらやめてもらえるだろう。

小さい頃はこんなにチャレンジャーなのに、

人はいつから挑戦することをやめるのかな。

私の隣で眠っている、この頑固な挑戦者を、少し見習いたい。

うん。

挑戦しよう。

とりあえず今やってること。

舞台で。

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すき ばかり

午前、小さな同居人が昼寝をしたすきに、美術プランの図面直し。

午後、小さな同居人が保育園に行ってるすきに、本公演衣装を作る。

あっという間に時が経ち、迎えに行く。

あ、そうだ。みかんを食べさせなくては。

スーパーに寄る。

と、電話が鳴った。

打ち合わせのため、家に来たKさんからだ。

あれ?

なんてことだ。

すっかり忘れてた。

午後の早い時間には覚えてたんだけど、

作業に夢中になってて忘れてしまった。

平謝りして、スーパーから戻るとKさんとOさんが立っていた。

本当にごめんなさい。

その後、打ち合わせ。

今日の二人はなんだか素敵な装いだ。

お互い交し合う表情も穏やかで、カフェでデートしているカップルのよう……。

仲もいいし。

大人の男と女という感じ。

私は髪もボーボーだし、服も作業着。

表情も言葉も殺伐としている。

小さな同居人にしか笑顔が出せない。

打ち合わせ中、考えたことをそのまま話したら

ロボットと言われたよ。

忙しいのはきっとみんな同じなので、心持の問題だろうな。

私は一生懸命やってると、すぐこうなっちゃう。

バランスのいい人がうらやましい。

髪振り乱して、とか、なりふり構わず、とかって、

たいてい嫌な女に使われる形容詞みたいな気がするんだけど、

私にすごく当てはまってる気がする……。

まあいいや。

自分がどうとか考える余裕あったら、

舞台の完成度を高めるほうに振り向けないと。

時間あったら離乳食のストックも作らなくちゃね。

打ち合わせの後、小さな同居人を寝かしつける。

夜中、女優のOさんが訪れた。

小さな同居人の眠っているすきに、衣装の確認と直し。

それにしても、私ったら「すき」ばかり狙ってるなあ。

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はなれちゃう

役者さんと普通に話してたら

「ずいぶん離れちゃうんだねえ」と言われた。

どういう男をかっこいいと思うかが話題になり、

個人的な好みを語ることを避けた。

そしたら言われたのだ。

そうなんだよねえ。

私、離れちゃうんだよなあ。

役者さんとも、スタッフさんとも、個人になって話せない。

好かれたいっていうのとも違うし、なんだろう?

お友だちになりたいって気持、ないわけじゃないけど……

でも少ないのかな。

私の個人的な好みや気持、誰にもさわって欲しくない。

人ってお互い近くなればなるほど、憎しみを感じやすい。

今の私は、人を嫌いになりたくない。

ただそれだけ。

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その ぎゃく

肩が凝って仕方がない。

考えてみると、仕方がない、という言葉を使いたくなる時ほど、

肩がコチコチになる。

肩が凝る結果、仕方がなくなる、のではない。

その逆。

本日は本公演の稽古に昼も夜も立ち合う。

昼はよかったが夜はあまり良くなかった。

役者には舞台の上で恋をして欲しい。

稽古が終わった後に、飲み行ったりメールやりとりして恋するんじゃなくてさ。

いや、後者ももちろんあっていいけど、

そっちだけ盛り上がるのはカンベンして欲しいです。

舞台で頑張ろうよ。

役者ならば。

私が外出中、小さな同居人は「マミーマミー」と言って泣いていたらしい。

ごめんね。

私も、一緒にいたいんだよ。

ほんとに。

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かんどう のち おっぱい

本公演「まなこ の おく の ちいさな おんな」のリハーサル2回目。

なんとか輪郭が見えてきたように思う。

ほっとした。

気のせいか、みんなの顔も少し明るい。

うんうん。

とにかくあとは、きちんとやるべきことをやって、完成度を高めて行こう。

帰り道、最近腹が立ち落ち込んだことを友に話した。

打ち明けるのには勇気がいったけど、言葉にして良かった。

私には信じあえる仲間がいる。

心の霧が晴れた。

「信」は大切。

どんなにいい人だとしても、信頼できない人とは距離を置きたい。

私に近付いて欲しくない。

帰宅したら、小さな同居人が家人とともに待っていた。

トコトコと歩いて私の腕に飛び込んできた。

感動の再会。

嬉しいよ。嬉しい。

と思っていたら、「おっぱいおっぱい」と呟きながら私の胸を叩き服をめくってきた。

そうですか……。

もちろん、それはそれでジーンとするけどね。

授乳して、寝かしつけてから、夕飯を食べた。

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それは できません

小さな同居人といると、

要求されても絶対にできないということがたくさんある。

それはできません。

そう説明しても、人にはなかなか理解されない。

小さな同居人と、長時間離れ離れになること。

深夜、家から遠く離れた場所で、人につきあって酒を飲むこと。

できないことがたくさんあるのは、

全然イヤじゃない。

むしろ、嬉しい。

生活がシンプルになっていい。

だけど、説明しても分かってもらえないのはつらい。

なにより、その人を嫌いになってしまいそうで、悲しい。

嫌いになったらもう二度と、元には戻らないのを知ってるから。

それにしても、私の知っている役者はみんな純粋な人ばかりなのに、

他人の口から聞くと何故、

功名心が強く、生理的な欲望に振り回される頭の悪い人たちみたいに聞こえるのか?

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いすのぼり

書き終わった後の憂鬱が、割合長く続いている。

それでも仕事は休めない。

なんとか続けるしかない。

小さな同居人は、最近、駆け引きを覚えつつある……。

食事中に立ち上がってしまうので

座るように伝えると、

ウソ泣きしながら手を叩いてみせる。

手をパチパチするから、その代わり立たせてくれ、という意味らしい。

手を叩くたびにほめたので「パチパチ=良いこと」という図式が出来上がったらしい。

その他、芸のようなことをしてみせた上で、立ち上がろうとする。

どうして座って食べるのが嫌なのかな?

でもまあ大人でもうろうろしながら食べる人はいるからなあ。

山登りブーム?いや、椅子登り……。

いろんな椅子の上にのぼり、得意そうな顔をしてみせる。

午後はWS公演のリハ。

音楽監督のT氏とその後、行きつけの喫茶店で打ち合わせ。

本公演の音楽について、きっかけなどを相談する。

お茶一杯飲んだだけだが、たいへん和んだ。

「間」の感覚について、お喋りした。

この感覚ってある人にはあるし、ない人にはない。

生理的な感覚だから、訓練ではないような気もする。

ないからといって、別に芝居が成り立たないわけではないけど

やっぱりあるに越したことはない。

今はゲーム台本の仕事が終わり、

公演の仕事だけに専念している。

ほんの少しだが小さな同居人と過ごせる時間が増えた。

少しずつ心が回復しているのを感じる。

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えす おー えす

台本書き終わると、欝っぽくなる。

今回も、ビッグウェーブが襲ってきた。

人にSOS出してみたが、助けてくれるわけもなし。

一人で頑張るしかないね。

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だいほん の ごほうび

やっと本公演の台本、ラストシーンまで書き上げた。

9割書けたところで、ゲーム台本の仕事が突然入り、中断していたのだ。

私としては、今までにない仕上がりの遅さ。

でもまあ、稽古の進行には支障をきたさないくらいの遅延で済んで何より。

昨日、今日と音楽監督のT氏が稽古場へ来た。

彼も忙しいようでなかなかテンパッている。

二人でなぐさめあっているうち、なんとなく勇気が出てきた。

よし。

帰宅してからもう一度、電話でT氏と打ち合わせ。

昼間に稽古場で会った後、さらにテンパるような状況が出てきたらしく、

ちょっと半泣きな感じになっている。

お互い大変だよね、なんて言い合いながら電話を切った。

メールを開いてみると、案の定ゲーム台本の修正依頼が来ている……。

うーん。

深夜、本公演のラストシーンを書き上げた。

その後で、ゲーム台本の修正を済ませる。

これで台本関係の作業はほぼ終わった!

いつもなら

本公演の台本が上がったところで

自分へのご褒美として、みんなで飲んだりとかするんだけど……

深夜だしね。

それに前とは生活も違うし。

ベッドへ行って、小さな同居人の頭に顔を埋める。

これをご褒美にしようかな。

でも、それはなんか違う気もする……。

小さな同居人に失礼な気がする。

自分のあずかり知らぬところで

台本のご褒美なんかにされちゃ、たまらんよねえ。

ということで、ご褒美はなんか別のものにしなくちゃ。

今のところ思いつかないけど……。

ああ、美味しいアイスでもあればいいのに。

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わたし ひゃくぱーせんと

昼はWS公演、夜は本公演の通し稽古。

稽古の休憩時間に、一度帰宅して

小さな同居人を風呂に入れた。

同居人は、10歩くらいなら歩けるようになった。

ここ一週間で急速に進化している。

わざと私の顔を見ながら食べ物を投げ捨てたり、

壁に頭をぶつけてみせたりする。

私が「ダメ」というと何故あんなに嬉しそうな顔をするのか?

ダメっていう時は、真正面から向き合うから?

それがダメというメッセージであっても、

正面から自分だけに集中してもらえるのが、嬉しいのだろうか。

小さな同居人はいつも100%の私を欲しがっている。

もっと一緒にいられるようにします。

そのためにも、

今頑張らなくては。

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あんち れんあいしじょうしゅぎ 

つ、疲れた……。

突然、ピンチヒッターの仕事。

ゲーム台本なんだけど、

とにかく細かい。

短いものが集積されて、原稿量自体は多い。

手間暇掛かって大変だ。

審査員の仕事が終わって

やっとひと息つけるかと思ったら……。

本当につらいです。

それも明日まで。

まあ、寝なければ書けるんだよね。

たいていのものは。

極端な過労は、

頭の血管詰まったりしそうでイヤだ。

だいたい極端な過労って、

重複してて言葉の使い方が間違いだと思う。

今日は稽古の帰り、

「ちびすけさんもまた恋をしますよね。恋し続ける、そんな感じがします」と

女優のOちゃんから言われた。

???

何を根拠に?

一つ思ったのは、

私は、男の人を幸せにしてあげようと思ったことが

ほとんどない。

何故なのか分からない。

女友達を幸せにしようと思ったことは

何度かあるのに。

そういうヤツは恋しないほうがいいねえ。

相手の男が気の毒だ。

私は本当の意味での恋を

したことがないのかもしれないな。

そういう人生も、

今は否定しないよ。

恋愛至上主義は

間違っている。

世の中を害する、と

私は思う。

それなのに、

私は恋愛ゲームでご飯を食べている。

なんか、イヤだなあ。

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たんじょうび は ふたつ ある

朝からゲーム台本。

とにかく困っている人たちがいるなら

何とかしようではないか。

なんてエラソーか?

なんとか夕方までに入稿。

ゲーム会社の方からお礼メールいただいた。

ほんと嬉しいです。

そう言っていただけると。

夜、友人が訪ねてきた。

小さな同居人と遊んでもらおうと思ったのに

同居人はすぐに熟睡モード。

途中までライターの友人が

居間で仕事していたのが途中帰ってしまって、

二人だけになる。

彼の人生の話を聞く。

涙が出てしまった。

悲しい、とか、切ない、とかではない。

なんか不思議な涙。

泣きたくなかったのに。

涙を流すとカタルシスとやらのせいで、

何を感じていたのか、

忘れてしまう。

なんで泣いたんだろう?

人間には、誕生日が二つあるのかもしれない。

一つはお母さんから生まれた日。

もう一つは……自分から生まれて、自分になる日。

9月9日、あなたの二番目の誕生日の話、

私も覚えていようと思った。

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ぼーふーいき

髪を切りに行ったら、腰を降ろした途端眠ってしまった。

疲れているからというより、連日の猛暑のせいか。

昨夜、人と電話。

対人関係で思うところが多々あり、

感情をどの程度出して人と接すればよいのか、と相談してみた。

はっきりした回答は得られなかった。

人が何を考えているか、あまり想像しないようにしている、と話したら少し驚かれた。

何故だろう。

そういえば、よく人から「深読みしてるでしょ」と言われる。

それもよく分からない。

言葉と行動で判断します。

普段の暮らしでは人の心の奥底にお邪魔したくないなあ。

電話で話している途中、一度ほろりとして泣きそうになったが、

思い出せない。

なんだったろう?

私は何にほろりとしたんだっけ?

自分の感情は日常の風に吹き飛ばされてどこかへ行ってしまう。

私はいつでも暴風域にいる。

立っているだけで、精一杯だ。

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