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2011年7月

かわいくない ひと

小さな同居人が三語文を口にするようになった。

また、自分のことを「あかちゃんやない。おねえさん」(赤ちゃんじゃなくてお姉さん)と言う。

「おねえさん は ばなな が すきだよ」などと真面目な顔で言うようになった。

「べびーかー のって こうえん いく」などとも。

朝から晩までひっきりなしに喋っている。。

おままごとなども複雑になってきて、

ぬいぐるみたちにお茶会を開かせたりする。

それぞれのぬいぐるみに「いーれーてー」「まーぜーてー」、「いーいーよー」などと言わせて、小さな椅子に着席させる。

そして、カップでお茶を飲ませたり、ままごと用の果物を食べさせる。

ときどき「どいて」などと言って、ぬいぐるみの椅子に自分が座ったりもする。

ぬいぐるみだけの世界を作ってからいきなり自分も乱入するというのがなかなか興味深い。

今日は稽古に行くのに家のラジカセを持ち出したら、

帰宅後、怒られた。

「もってっちゃったの?もってっちゃったの?」と憮然とした顔。

「ああ、お仕事で使うので持って行ったんだよ」と伝えると

自分のだ、と主張してくる。

そうか。いつもこれで歌を聴いてるんだものね。ごめん。

稽古に持ってゆく用のラジカセを別に購入しようかな。

しばらく稽古以外の時間は、ドラマCDの仕事をやらなければならない。

自由な時間がないと、人間嫌いに拍車がかかるような気がする。

どんどん可愛くない人になっていくなあ。困った。

小さな同居人がいてくれるおかげで、

こんな私も何とか人と関わろうと努力する。

神様に感謝。

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午前、学校に行き書類の手続き。

帰宅してすぐに原稿。

午後は、ゲーム会社の方々とお茶。

美味しそうなゼリーの詰め合わせをいただいた。

小さな同居人と食べよう。うっしっしっ。

ドラマCDの締め切り、思ったよりタイトでなさそうだ。

頑張れば何とかなりそうだ。

夜中起き出して、明け方まで朗読劇の仕上げ。

こちらは締め切りに遅れてしまったが、最後まで楽しんでやれたなあ。

良かった。

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ちいさな ふね

実習が終わったと思ったら

劇作家協会や、以前にお世話になったゲーム業界の方々から

仕事の依頼があった。

そのうち、いくつかお引き受けする。

忙しくて頭が変になりそうだが、お話があるだけでもありがたいのだ。

とにかく壊れるまで働いてみよう。

いや壊れちゃいかんだろう。

というか、何故実習が終わった途端なんだろう?すごく不思議だ。

本公演の台本にだいたい目処がついた。

少し落ち着こう。

朗読劇の台本のラストはまだ。今日明日じゅうに決着をつけなくては。

自分はどこに向かおうとしているのだろう。

こんなに働くのはお金のため?なんのため?

舞台はやりたいからやるのだけれど、

劇作家協会の審査員なんて、何のためにやるのかさっぱり分からない。

受賞作を出版する時お世話になった方から、久しぶりに連絡があったので、

なんだか断りたくなかった。

ただそれだけだ。

ドラマCDの仕事はお金のためかな。よく分からない。

小さな同居人と楽しく静かに暮らすためには、お金も必要だ。

今のところ暮らしは安定しているが、未来のためにもっと貯金もしたい。

一人で生活を支えていて大変だね、とよく言われる。

でも実は気楽なのかも。

今、私が操っているのは、小さな同居人と二人きりの小さな船。

小さいからどこにでも好きなところに行ける。

他に大人をもう一人乗せろと言われたら、本当に大変。

少し休みたいなあ。

深く考えてるとお腹が痛くなりそうだから、スルーしとこう。

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にんげんぎらい

本公演の台本を書きつつ、

学校と稽古と小さな同居人との生活。

結構大変だなあ。

稽古と執筆の両立は問題ないのだけれど、学校と幼子の世話はなかなか大変だ。

なでしこジャパン、優勝して本当に良かった。

でも、北京で4位だった時に、なんとなくこういう日が来るような予感もしていた。

鮮やかなカウンター攻撃を目にして以来、大ファンになった。

今日のピアノのレッスン、先生がとても厳しかったが最後には「とても良くなった」との言葉をいただいた。少し救われた。

気分が重い。

台風のせいか。

人ともっと本音で話せたらいいなあ、とつくづく思う。

でも本音がかなり周りの人と違っているから、

率直に話すと、引かれてしまうんだよね。

差異を受け入れる文化なら、私のような人間も生きてゆきやすいのかもしれない。

あと、人に対してすぐに嫌いになったり無関心になりやすいのも悩みだ。

気持が冷めやすいというか。

それは心の中の問題なので、表面的には何も問題は起きない。

でもなんとなく楽しくないな。

もっと穏やかな気持で人と接したいのだ。

穏やかに接することはできるんだけど、心の中では無関心や憎悪が渦巻いている。

嫌だなあ。

人間を好きになりたい。ほんと。

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ねぎ ぶーむ

昼ご飯に美味しい焼き鳥をもらった。

串の端にはこんがり焼いた長ネギ。

小さな同居人はネギばかり食べたがる。

ネギは串に一つしか刺さっていないので、すぐに終わってしまった。

小さな同居人が首を傾げて「まま~、ねぎはある?」と訊いてくる。

味噌汁を指して「ここにあるよ」というと、

ネギを大切そうにすくって食べた。

空前のネギブーム。

最近、要求に関する言葉はとてもスムーズだ。

助詞や副詞なども登場して、ほとんど普通の日本語である。

2年足らずで運動機能も言語もここまで発達するのか。

赤ちゃんってすごい。

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いつう

冷たいものを飲み過ぎたせいか、ストレスのせいか、とにかく胃が痛む。

医者に行った。

薬を飲んだら起きていられるようになった。

最近、人を信じるのやめようと思うような出来事があった。

信頼って何だろう?

信じるのって、論理的な作業でもあるのだと思う。

記憶が苦手な人や、感覚的な人、感情を優先するタイプには向いていないのかもしれない。

だから約束を取り交わす時には、相手の特性をよく見てからにすべきだ。

私も記憶力は自信がないタイプだが、人と取り交わした約束だけは忘れないようにする。

もしその約束を守れない可能性が出てきた時には、

分かった時点で伝えるようにする。

どんな理由があろうと、約束、信頼は貫きたい。

一度失われたものは二度とかえってこないのだから。

理由はどうあれ、約束を破るのって不潔なことだ。

美しくない。

自分を信じられなくなるのがイヤだから、私はしない。

今現在、小さな同居人と一緒にいる私は、

筋の通った存在でいなければならない。

そう強く感じる。

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そんなものは いらない

今日はほうぼうから優しい言葉が届く。

高校時代の恩師、元同僚、古い仲間、最近メールを交わすようになった知人。

忙しさでこわばった心が、ほぐれてゆく。

8月、仕事が重なって本当に危ない。

どれか断らなければならないかもしれない。

特に、ゲーム台本の仕事。

今、生活に困ることはないけれど、

小さな同居人の将来の学費なども考えると引き受けたい……。

どうしよう。

古い仲間に深夜電話で相談。

すると「手伝うよ」と言ってくれた。

嬉しいなあ。

いつも優しいんだね。頼りになる。

お金には換えられないが、とにかくお礼を渡したい、とだいたいの金額を言うと

そんなものは要らないと返って来た。

いつも私に与えるばかりで受け取ろうとしない。

逆の人もいるのにね。

そのあと、以前相談した悩みを解消した、ということを話した。

そうしたほうがいいと思ってたよ、と彼は言った。

それを聞いたらなんだかほっとして、力が抜けた。

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みんなのこと わすれません

実習最終日。

折り紙のヒマワリに紐をつけ首からぶらさげられるようにしたものを

クラスの人数分作った。

裏にはメッセージ。

ありがとう。

みんなのことわすれません。

朝、登園してくる子たちを庭で迎え、遊ぶ。

「先生、今日が最後?」

「もう遊べないの?」

とまっすぐな瞳で訊かれ答えに困る。

とその時、こどもたちが走ってきて私を取り囲み、

手を引っ張ってぐるぐると回りだした。

みんな、大好きだよ。

本当にいろんなこと教えてくれてありがとう。

昼、お別れの会で、子どもたちの前で挨拶。

最後の4日間お世話になった5歳児クラスの子、一人一人の首に

ヒマワリのペンダントを掛けてゆく。

女の子たちが、「先生これ、大切にするね」と言って紙のペンダントを抱き締めた。

一番の悪童がいつにない真っ直ぐな目で私を覗き込み、

「ね。先生、お勉強頑張ってください。僕、応援してるからね」と言って来た時、

不覚にも涙がこぼれた。

ありがとう。

私はあなたの描く絵、素晴らしいと思ったよ。

自由で、広がりがあって。

泣き笑いしながら「ありがとう」というと、

一番大人っぽい女の子が走ってきて、「大好き」と抱き締めてくれた。

本当は私があなたたちを勇気付けるような言葉を掛けてまわらなくちゃいけないのに、

今日はもうまるで反対だ。

一番最初に担当した4歳児クラスの子がお手紙をくれた。

「もうあそべなくてさびしい」と書きなぐった言葉の横に迷路?が描いてあった。

この迷路抜け道がないよ。

自由遊びの時間、いつも一緒にいた3歳児の子たちは、

まだ別れがよく分からないようだ。

そのほうがなんとなく気分がラク。

夕方、掃除を終え、園を出る時、Aちゃんがまだ残っていた。

オレンジ色の願い事のことを、もう一度訊いてみたかったけれど、

「またね」とだけ伝えた。

「またねえ」と言うと、Aちゃんは少しうつむいた。

たぶん、彼女は別れを理解していたのだ。

また遊びたいね。Aちゃん。

あなたの話を、もっと聞きたかったな。

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幼稚園の実習も残り数日。

役者の卵などでもそうなのだが、

幼児にも「なんとなく印象的な子」というのがいる。

特に姿が良いとかそういうわけではないのだけれども、

人の胸を打つ雰囲気を持っている、そんな子。

3歳の子で、気になる子がいた。

小さな同居人に少し似ているのでそのせいで気になるのかと思っていたが、

それだけではないと今日思った。

他の子とともに一緒に砂場で遊んでいたら、

誰かが砂の中で車のオモチャを発見した。

そこで宝探しが始まった。

A(気になる子)が私に小さな声で「私はねがいごとを探してるんだよ」と伝えてきた。

「ねがいごと?」

「うん。私のねがいごとはオレンジ色なの」

かなり衝撃を受けた。

こんな美しい詩みたいな言葉、ふと出てくるものだろうか?

Aは大真面目にしていても大人の笑いを誘うような、

仕草の面白い子だ。

夕方、教室に延長保育で残っているAに、声を掛けた。

母が恋しいのか、寂しそうにしていた。

「じゃあまた明日ねAちゃん」

「私、今、勉強してるの」

そう言ってAは忙しそうに絵本を見ているフリをした。

胸がチクチク痛んだ。

そのまま小さな同居人を迎えに行った。

やはり、私は長時間拘束される仕事はやりたくないと思った。

小さな同居人に寂しい思いはさせたくない。

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じっしゅう

先週月曜日から幼稚園で実習。

なかなかハードで、毎日2時間くらいしか眠る時間が取れない。

子どもたちは本当に可愛いし、面白い。

「先生もたいへんだよね。でもさ、子どももたいへんなんだ」と言われた時には、

やられた、と思った。

ブランコに乗りながら男の子が、ぽつりと呟く。

「ママもときどき泣いてるよ。ときどきだけどね」

うん。

ときどき泣くよ。知ってたんだね。

先生方は有能な方ばかりで勉強になる。

一日はあっというまに過ぎるが、実習記録をつけるのがしんどい。

私って意外と手抜きができない性分みたいだ。

小さな同居人は、さらに言葉が達者になった。

「あめ、ふってないよ」とか「じーじ、ぐんまにいく」とか「かして」「ごめんね」とか言うようになった。

というかひっきりなしに喋ったり歌ったりしている。

以下メモ。

あんぽ→散歩

じょーじょ→ジョウロ

ぷーりっぷっ→チューリップ

じゅっちゅ→ジュース

かえゆ→カエル

おみたい→飲みたい

ぱいたい→おっぱいを飲みたい

でも意外にちゃんとした発音で喋っている。

もう少し、面白言葉で喋っている期間が長くてもいいのになあ。

喋れるようになって嬉しいけれど、一方ではそう思う。

ぜいたくだね。

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