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なげすき なのだ!

小さな同居人がしきりと口に手をあてて、ふっと吹くような仕草をしてみせる。

「それは?」と訊くと

「せんせい の まねだよ」と言う。

「先生がするの?」

「うん。これは、なんていうの?」

「ええとね、投げキスだよ」

「なげ……」

「投げキス、っていうんだよ」

考えながら小さな同居人はやがて言った。

少し納得したような顔で。

「なげ……すき」

なんと素晴らしい!

そうなのだよ。

投げキスは投げ好き!なんだよ!

歳を取ったせいなのか分からないけれど、最近ベートーベンが好きになってきた。

小さい頃は嫌いだった。

ベートーベンを好きになる時が来るなんて思いもしなかったな。

キーシンの演奏をたまたま動画で見たのがきっかけなのだけれど、

たぶん、彼が原因というより(もちろん素晴らしいのだけれど)

それ以前に、ここ数年で私の感性が変わったせいなのではないだろうか。

ダサくて、力強いところが、生きてるって感じで素敵だ。

ぐええっ……言葉にするとまた、メチャクチャ、ダセえ。

昔から私は、

生き生きしてたり、若々しかったり、センシティブだったり、力こぶを感じさせるものだったりすると、

ダサい、と斬り捨てる傾向がある。

まあ照れてたんだろうね。

なんか直視できない感じ。

でも最近は、そういうエネルギッシュな感じもいいな、って思ったりする。

そういうものに対して、客観的になったのかな。

枯れてきたのか……。

力こぶに対して、ユーモアを感じ取ったりもするようになった。

といっても、好きになったからといって、ベートーベンを自分で弾いたりはしないと思う。

力強いのはたぶん無理。

そういう体力がない。

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